襖貼装 4面 縦 177.0177.8p 横 92.293.1p

狩野孝信筆「唐美人唐子図」

  光隆寺蔵の「唐美人唐子図」襖絵は、一見して桃山時代後期(慶長年間)の狩野派画家の制作と判断される作品で、4面のうち2面ずつの図柄が連続する。ともに中国の宮廷内、楼閣の前庭で女性や子供たちが楽しくくつろぐ様子を鮮やかな色彩で描いている。
 両図とも画面左下部に狩野永徳が用いたものと同じ印文の印章が押されているが、後印と判断され、作風から本図の筆者は狩野孝信(1571〜
1618)と考えるのが妥当である。                          狩野孝信は狩野永徳の次男、探幽の父にあたり、狩野派の棟梁として、障壁画制作の中心的な役割を担った画家である。                 本図は、桃山時代にまで遡る数少ない障壁画の一例で、遺品の少ない狩野孝信の慶長期の作例として貴重である。
 絵具層の剥離、粉状化、さらに白蟻による木製下地への損傷があり、2006年度から3カ年計画で修復を行っており、本年度で完了する。

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