本紙 縦 32.0p 横 670.0p

紙本著色 是害坊(ぜがいぼう)絵巻

 唐の天狗是害坊が、比叡山の僧との法力競べ に敗れて怪我をし、日本の天狗に湯治などの介抱を受けて本復、送別の歌会ののち帰国するという、『今昔物語』に取材した絵巻。
 天狗たちの力強く動態感ある表現、賀茂川など添景の自然への細やかな視線などは、正統なやまと絵画家の作を思わせ、14世紀の説話絵巻の優品である。同時期の唯一の類例である2巻本(京都曼殊院本)が僧侶による写本とされカタカナで表記されるに対し、この絵巻の詞書は漢字仮名まじりの青蓮院流の書体で、より上流階級で鑑賞されたと想像される。
 現状は、旧修理部分の劣化、虫損による欠紙、多数の折れがあり、ことに後半部分は折れ山が深く、そこから亀裂が生じかねない状態で、剥落止めを行ったうえ全面解体修理を行う。

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