像高 60.7p

大日如来坐像

 京都府加茂町にある浄瑠璃寺灌頂堂の大日如来坐像は、普段は非公開であるため、あまり人目に触れられてはいないが、運慶が安元年 (1176)に造像した奈良円成寺大日如来像(国宝)など平安末期から鎌倉初期の慶派による作例に極めて類似した特徴を示す像として、研究者たちの注目を集めてきた。
 制作年は承安元年(1171)とも治承二年(1178)ともいわれているが、いずれにしても運慶とは異なる奈良仏師が円成寺大日如来像と同じ規範に拠って造像したものと考えられている。
 現状は近世修理の厚い泥下地に覆われているため、当初の像容を著しく損なっている。今回調査を兼ねて後補の下地を除去したところ、慶派特有の彫跡、錐点、割り剥ぎの構造等が判明、同時に腹部から膝前にかけて虫触の進行が発見された。 また剥ぎ目のズレも著しく、緊急の解体修理が必要である。

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