像高 96.0cm

 木像阿弥陀如来立像(あみだにょらいりゅうぞう)

 鎌倉時代初期の仏師快慶が創始した「安阿弥様(あんなみよう)」を継承した作風の阿弥陀像であり、制作時期は鎌倉時代後期から南北朝時代と推定され、淀みのない作風からみても畿内の仏師の手になるものと想定されている。ヒノキ材、寄木造り、玉眼嵌入、漆箔仕上げ(現状は後世修理の古色仕上げ)の像。
 廃仏毀釈による仏教禁制下の鹿児島藩において、破壊を逃れるため、土中の石棺内に納められていたとされる。それ以前は、薩摩国頴娃(えい)郷の開聞神社(かいもんじんじゃ)(またはその別当寺の瑞應院)の仏像であったと伝えられる。明治12年(1879)に土中から掘り出され、京都で修理をされた後、現在まで久志の古宝山廣泉寺(こうせんじ)の本尊として安置されている。
 本像は表面が後世修理時の古色仕上げに覆われ、経年の埃が付着する。また、全体的に接ぎ目の分離や緩みも看取される。かつての尊容を取り戻すべく、修復を実施する。

Copyright (C) The Sumitomo Foundation. All Rights Reserved.

前ページに戻る