本紙 111.8cm×51.5cm

絹本著色 雪村友梅像(せっそんゆうばいぞう)

 別府市の松音寺(しょうおんじ)(現・廃寺)は、もと臨済宗妙心寺派の寺院で、大分市に所在する万寿寺の末寺であり、開山は雪村友梅(せっそんゆうばい)(1290〜1346)とされる。雪村友梅は、鎌倉時代末期から南北朝時代に活躍した臨済宗の名僧。越後国で生まれ、幼少時には鎌倉建長寺の一山一寧に仕える。後に京都の建仁寺に入り、徳治2年(1307)に入元。元徳元年(1329)帰国。建武元年(1334)に豊後守護大友氏に招かれ、菩提寺府内万寿寺の住持を勤めた。本図は描画の特徴から南北朝時代の作品と考えられ、顔貌の特徴をよく捉えた描写であることから、貞和2年(1346)の雪村没後間もなく制作されたものと考えられている。雪村の肖像画は全国的にみても作例が少なく、中世に遡るものは万寿寺にも残されていない。
 しかしながら、現状は、表装・画絹ともに損傷が著しい。特に画絹は経年劣化により上部3分の1程が完全に剥離し、強度も非常に脆くなっており、早急な修復が必要である。2ヵ年計画で修復を図っており、本年度で完了する(住友財団としては1年目)。


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