像高 105cm

大滝山観音堂(おおたきさんかんのんどう)
木造十一面千手観音立像(じゅういちめんせんじゅかんのんりゅうぞう)

 大滝山観音堂は、滝川上流の「伯州瀧山寺」というかなり繁栄した寺院があったとされる地に位置していると考えられている。大滝山奥の院坊「大滝山千手寺」と称していたが、大正11年より「大滝山観音堂」とされた。久米郡観音霊場12番札所の本尊として信仰が篤い十一面千手観音立像である。寄木造り、玉眼嵌入。正面天冠台下に結い上げる毛筋はうねり、裳裾の端部にも強く翻りをみせるなど、全体として写実を旨とした作風から、鎌倉時代に遡る可能性があるとされる。
 しかしながら、頭部から両肩、右腰前にかけて、雨水の侵入で彩色は剥落し、下地が露出して白色となっている。頭上面は二面を欠失し、脇手は左右とも4ヵ所脱落している。ことに台座の接合は弛み、台座上に立たない状況で、本体を晒布で光背に括りつけており、早急な修復が必要な状況にある。なお、2016年の鳥取県中部地震で被災したお堂の修理に合わせて、堂内を精査し、本像に関わる資料や部材を収集する予定である。


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