紙本金地著色 源氏物語図(げんじものがたりず)
慶長17年(1612)に制作された本作品は、源氏物語を描いた絵1枚と、物語の中の一節を記した詞1枚の各1枚が、厚手の台紙に貼られた装丁の80枚から成る。 石川忠総(いしかわただふさ)(1582〜1651)が依頼者、源氏学の泰斗である中院通村(なかのいんみちむら)(1588〜1653)がコーディネートし、総勢18名の公家が詞を書き、土佐光吉(1539〜1613)が絵を描いている。土佐光吉の画帖形式の源氏絵の集大成といえる作品で、豊麗な彩色の発色、微細な描写、金箔により華麗な画面が形成されている。 盛り上げられた絵具層の摩滅損傷や粉状化による剥離剥落が進行、また虫損による欠失などもあるため、4ヵ年計画で修復を行っており、本年度で完了する(住友財団としては3年目)。