22.8cm×16.5cm

私家集(しかしゅう)及び冷泉家歌書類(れいぜいけかしょるい)のうち
「擬定家本(ぎていかぼん)」31帖

 私家集及び冷泉家歌書類の中に、冒頭部分だけを定家様すなわち藤原定家の書風を模範として書写した一連の作品群(31)がある。これらは定家書写本を所持していなかった二条家などにおいて、定家本に擬して書写されたもので、いずれかの時点で冷泉家に入ったと考えられている。近年、研究者により「擬定家本私家集」と命名されたものである。
 今年度の修理対象は、「宗于集(むねゆきしゅう)」「顕綱朝臣集(あきつなあそんしゅう)」などの12帖であり、御子左家(みこひだりけ)(藤原道長の子、長家の家系をいう。俊成・定家らを輩出)の周辺で実施された写本事業遂行の実際を考えるうえで、大きな示唆に富む作品群である。
 しかしながら、現状、虫損に加え、本紙に折れ曲り等が、また、水等の浸潤により料紙に変色・硬化等が発生しており、緊急に修理を要する。3ヵ年計画で修復を行っており、本年度は2年目となる。


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