本紙 85.0cm×131.5cm

 梅田家資料所収(うめだけしりょうしょしゅう)
「新刻日本輿地路程全図(しんこくにほんよちろていぜんず)

  本地図は、経緯線を用いて描かれた日本最初の出版日本地図であるとされる『改正(新刻)日本輿地路程全図』(通称:赤水図、安永8年(1779)初版)の第2版(1791年製)である。幕末日本で盛行したため、残されている地図は少なくないが、第2版はさほど多くなく、幕末当時の所蔵者が明確な例は少ない。そうした中にあって、本地図は、幕末の金沢の町人で番代手代を務め、明治初期に七尾に移住した梅田甚三久の旧蔵品といわれていることは非常にまれなことであるとともに、幕末明治初期にこうした日本全体についての地理認識が金沢の町人にまで浸透していたことを示す貴重な資料とされている。平成23年(2011)に金沢大学資料館にその子孫によって寄贈された梅田家資料の中に入っていた。梅田家資料は、787点からなる、幕末・明治・大正期の庶民の暮らしを生き生きと伝える資料群であり、そのなかでも出色の資料の一つが本地図である。
 しかしながら、本資料の傷み・虫損は著しく、このまま放置しておくと数年後には棄損しかねない。急ぎ修理を図る。


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