造尺迦像〈法花因縁〉   15.0cm×11.5cm

             (ぞうしゃかぞう ほっけいんねん)                                                                      

称名寺聖教(しょうみょうじしょうぎょう) のうち湛睿説草(たんえいせっそう)

 称名寺聖教は、北条実時(1224〜1276)が開基した称名寺に伝来する中世鎌倉において形成された聖教資料で、日本仏教史・文化史上、欠くことの出来ない重要な位置を占めるものである。その中でも、湛睿説草は、東大寺など畿内の大寺院で修学し華厳や戒律の学問を修めた学僧、称名寺第三世長老・本如房湛睿(ほんにょぼうたんえい)(1271〜1346)が鎌倉から南北朝時代に作成した、法会の際に行う説法の自筆原稿である。そこには畿内の大寺院では既に失われた南都の唱導を伝える説草や、金沢称名寺・下総東禅寺において信徒や外護者のために起草した回向説草など、極めて貴重な資料が多い。
 湛睿説草は、約15cm四方の枡形本で、多くはすでに翻刻が進められているが、今回修復の対象となる30点は、虫損や動物の糞尿、雨水等により、特に破損が著しく、いずれも開披が困難な状態にある。そのため、破損拡大の恐れから、開かれぬままに保存されており、その内容は未知のままである。
2ヵ年計画(当初3ヵ年計画)の修復は、本年度で完了する。


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