本紙 122.7cm×60.2cm
絹本著色 楊柳観音図(ようりゅうかんのんず)
梅林寺(ばいりんじ)は、丹波国福知山に立地した瑞巌寺を、福知山藩から久留米藩に転封された有馬豊氏(ありまとようじ)(1569〜1642)が元和7年(1621)に遷座、大龍寺と称したのが創始といわれ、後に歴代の久留米藩主の菩提所となった。 善財童子が補陀落山に住む観音のもとを訪れるという『華厳経』の最終章「入法界品(にゅうほっかいぼん)」の一場面を描く楊柳観音図は、中国唐代に図様が創出され、以後、朝鮮半島、日本に広がった。本図の図様はこれらの楊柳観音図と多くの共通点を有する一方で、観音の手前に跪座する女性を配し、上空にも人物を描くなど、他に類例のない珍しい図様を持つ。さらに、施主名や朝鮮世宗9年(1427)施入と制作時期が明らかな基準作としても重要である。 現状は、強い折れなど少なからぬ損傷があり、掛幅の開閉により本絹等が欠落する恐れがあるため早急な修復が必要となっている。2ヵ年計画の修復は、本年度で完了する。