(本紙  縦25.9p 横801.1〜1193.6p)

 紺紙金泥 妙法蓮華経8卷

  徳性寺所蔵の本品は完存する妙法蓮華経全8巻である。12世紀中頃に成った「金銀字一切経(中尊寺経)」「紺紙金字大智度論巻20(神護寺経)」「紺紙金字一字宝塔法華経(長寛2年心西願経)」などに共通点が見受けられ、徳性寺本は平安時代末期に遡る貴重な遺品と考えられる。全8巻全て紺紙に金泥で経文を書写しており、書風は平安中期以降に見る和様書法である。また表紙裏の見返し絵は、一般的には釈迦説法図などの図柄が多いが、徳性寺本では金銀泥で各巻ごとに異なる図を描いた変化に富む点で注目すべき遺例である。今後経文の書風や、書写状況の研究への活用に期待がかかる。
 現状、各巻の水晶軸は離脱して巻物の体裁を成さず、虫損や破損に加えて後補の裏打ちにより、縦横にしわが生じている。
4ヵ年計画で修復を行う(本年度は2年目)。

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