(直径12.5cm 高さ16.0cm)

山水人物堆朱(ついしゅ)食籠(じきろう)一対

  山形県上山市にある蟹仙洞美術博物館は、日本で唯一の彫漆器展示施設で、主に中国の明から清代作の食籠、盆、箱等多岐にわたる90点あまりの彫漆器が蒐集されている。2011年3月11日の東日本大震災の際に、展示ケース内の6点の漆器が被災し、現在は昭和女子大学光葉博物館に寄託されている。
 山水人物堆朱食籠は、六花形で台座を具備した2段重ねの印籠蓋造堆朱食籠で、一対となっている。一体は、衝撃で身の側面部分が底部素地構造から分断剥離している。またもう一体は、口縁部や底部に大小の欠損が認められる。
 これまで、中世彫漆器について文化財学的調査を踏まえた修復例はほとんど無く、今回の彫漆器の構造、材質等の調査と、その結果を加味した修復は得難い機会である。

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