興風集二十一首本   本紙 縦 14.8cm  横 14.6cm

 私家集

 冷泉家に伝えられた私家集4巻83冊196帖は、わが国の和歌文学の根本資料として極めて貴重なものである。その多くは現存する流布本の親本であり、それぞれの家集を考察していく上で極めて貴重なものである。
本年度修復予定は平安私家集の内、鎌倉時代の写本5帖。「興風(おきかぜ)集二十一首本」は途中で書写を中止しており、その後に書写し直した本と共に現存する極めて珍しい例。「二条太皇太后宮大弐(にじょうたいこうたいごうぐうのだいに)集」は全体に藤原為家(ためいえ)筆と思われ、伝本の中でもとびぬけて古い時代の書写で貴重。「元良親王(もとよししんのう)集」は藤原為家と歌風をめぐって激しく対立した真観(しんかん)(葉室光俊(はむろみつとし))の監督書写本であり、伝本中唯一の鎌倉時代書写。「大納言経信(つねのぶ)集」も「元良親王集」と同じく真観監督書写本であり、宮内庁書陵部蔵本の親本。「顕綱朝臣(あきつなあそん)集真観本」も前記2帖と同じ真観監督書写本であり、宮内庁書陵部蔵本の親本。いずれも虫損等が甚だしく、料紙片欠落の恐れもあり、修復が急がれる。

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