(本紙 縦29.8cm  横1001.9cm)

長谷雄草紙 (はせおぞうし

 「長谷雄草紙」は、平安時代初期の文人であり、漢学者としても知られる紀長谷雄(きのはせお)(845〜912)にまつわる怪奇譚を描いた絵巻である。 
 長谷雄が鬼との双六で勝利し、絶世の美女を得たものの、鬼と約束した百日を待たずに契ったため、美女は水となって流れ去ったという「続教訓抄」(14世紀初頭成立)に著録される物語にもとづいている。
 丁寧な筆致で描かれており、芸術的質の高さを感じさせるとともに、鎌倉末〜南北朝期の絵画様式を検討する上での基準となる作品。
 現状紙の折れが顔料の剥落をもたらし、巻末を中心に縦方向への折れや亀裂が多数生じている。2カ年の予定で修復を行う。 

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