(縦103.5cm  横38.0cm)

                                        はせがわしんしゅん  きしもじんじゅうらせつにょぞう      

長谷川信春筆 鬼子母神十羅刹女像 
 本図は、桃山時代を代表する画家である長谷川等伯(1539〜1610)が信春と名乗った時代に描いた新発見の作品で、制作当初から妙伝寺に所蔵されていたが、最近まで等伯作品としてまったく知られていなかったものである。
 図中には、元亀2年(1571)11月19日の年記があり、等伯の郷里七尾からの上洛時期の最下限を示す新資料として貴重である。また画面の記述から願主は、妙伝寺の第三世仏蔵院日敬(1584年没)で本図が33歳の等伯に委嘱し制作されたものであることがわかる。
 諸尊の衣のあしらいは、信春時代の作品に共通してみられる精緻な描写で、等伯の仏画の中でも、傑出した出来映えを示している。
 画絹や表具の損傷が著しいので、解体修理を行い、剥落止めを行うとともに、汚れの除去等を行う。

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