上:巻子装 29.5cm×233.0cm
                 下:巻頭から2頭目

 作者不詳(伝韓滉筆(でんかんこうひつ)「五牛図巻( ごぎゅうずかん)

  本図巻は、絹本上に無背景に五頭の牛を描いたもので、水墨が中心となっているが所々彩色が施されている。紙本著色の同主題・同図様作品が中国・北京故宮博物院に所蔵され、唐時代の代表作として内外に知られているが、水墨を中心により精緻な描写を見せる本図巻の存在は、両作品を相対化することで唐宋時代の絵画制作のダイナミズムを語る上で重要な素材を提供しうるものとみなされる。
 しかも、日本には鎌倉時代に「駿牛図(すんぎゅうず)」という無背景に牛のみを描いた作品があり、中国のみならず日本絵画史においても本作品の存在は看過できない重要な作品であることがわかる。
  現状は、巻末に行くほど縦折れが激しく、無理をすればそこから画絹に亀裂が入ってしまう程で、かすかに差された彩色も剥落の危険があることから緊急の修理が必要となっている。2ヵ年計画の修復は、本年度で完了する。 


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