大士      
   像高 115.5cm 

 木造士(ふだいし)及び二童子像(にどうじぞう)

  東福寺は、摂政九条道家(1193〜1252)が奈良東大寺、興福寺になぞらえようとの念願で、建長7年(1255)に創建された臨済宗東福寺派大本山の寺院である。経蔵は、開山の園爾(えんに 諡号は聖一国師(しょういちこくし) 1202〜1280)が宋から持ち帰った大蔵経を収めるため、永和3年(1377)に創建された。現在の経蔵は、寛政5年(1793)に再建されたものである。

 大士(497〜569)は、中国の南北朝時代に、経典を納め、閲覧に便利な輪蔵(円筒形で回転する棚)を発明した人物として知られる。その像が中国の寺院の経蔵に安置されていたのが伝わり、日本でも経蔵に安置されるようになった。本像も東福寺の経蔵の創建時に造られた可能性があり、それが正しければ現存する日本で最も古い大士像と考えられる。

 3像はいずれも桧材の寄木造で、現在は保存状態に問題があるため収蔵庫に移して保管されているが、全体に経年による埃や塵、汚れの付着が目立ち、彩色が各所で浮き上がり、剥落が進行するなど修復の必要性が認められている。本年度より2ヵ年計画で修復を図る。  


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