像高 57.1cm

 絹本著色 阿弥陀如来像( あみだにょらいぞう)

  金蓮寺は、応長元年(1311)浄阿真観(じょうあしんかん)が後伏見上皇より衹陀林寺(ぎだりんじ)を賜り、寺院の名を「金蓮寺」と改めたことに始まる。

 本図は、中国北宋後半から南宋初期にかけて杭州で活躍した喩弥陀思浄(ゆみだしじょう)の作風を伝える希少な伝承作であり、表具背面に添付された延文4年(1359)の書付によれば、鎌倉時代初期、南宋嘉定年間(1208〜1224)に渡宋したとされる慶政(1189〜1268)が請来したと伝えられる。その画像は思浄の心中に得た阿弥陀の姿を描いたものとされており、当初より幻想的で朧な表現を有したものと推察される。本像の朧な表現は、思浄の原本がもつ幻視の絵画化の様相を確実に伝えており、彼の画風を最もよく伝える作例である。

 現状では画面の傷みからその特質自体も把握しがたくなり、その微細な表現は徐々に失われつつある。2ヵ年計画の修復は、本年度で完了する。 


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