東福寺塔頭の一つ霊源院は、中世五山文学の第一人者虎関師錬(こかんしれん)(1278〜1346)の法灯を受け継ぐ寺院である。
霊源院所蔵の松山集・北越吟・海蔵和尚紀年録の4冊は、南北朝時代から室町時代にかけて制作されたもので、重要文化財に指定されている。
『松山集』は、室町時代 在先希譲(ざいせんきじょう)の師、龍泉令淬(りょう
ぜんりょうずい)の詩文集で3巻2冊
『北越吟』は、室町時代 東福寺62世住持となり、晩年は海蔵院を開いた在先希譲の詩文集
『海蔵和尚紀年録』は、南北朝時代 龍泉令淬自筆の編纂になる虎関師錬年譜の稿本
これらは、何れも我が国中世五山文学を代表する虎関師錬・龍泉令淬・在先希譲に関する代表的な作品であるが、保存箱もなく虫損等が進行しており、貴重な資料として早急な保存修理が望まれる状況にあ
った。3ヵ年計画の修復は、本年度で完了する。 |