159.0cm×173.0cm

 棚に草花文様打敷(たなにくさばなもんよううちしき)

  真珠庵は大徳寺の塔頭寺院で、永享年間に、一休宗純(1394〜1481)を開祖として創建された。

  本品は、打敷となったのは裏地に記載する通り元和6年(1620)だが、小袖を引き解いて方形となるよう改変し、裏地を付して仏前の机に掛ける打敷としているため、本来の小袖の製作は慶長年間(1596〜1615)後期と考えられる。中央の鏡部分と四周の縁部分から構成されており、縁の角は斜め継ぎとなっている。16片の生地が繋ぎ合わされているが、これは本来の形状である小袖の生地ほぼすべてに相当し、紅白の片身替わりの小袖の姿に復元できることが指摘されている。打敷の裏面に名を残す「江菴法眼僊英長松居士」とは、真珠庵の有力檀越であった半井家(なからいけ)の人物であり、真珠庵の過去帳にその名を残す。この人物の菩提を弔うために、本打敷は遺族から真珠庵へ寄進され伝来してきた。

  しかしながら、黒染め部分は鉄媒染を用いているため全体が劣化して大きな欠損が多数確認できるほか、表地に大きな欠失が数ヵ所、小さな欠損が多数確認できる状況になっている。本年度より2ヵ年計画で修復を図る。


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