仏説無量寿経巻上                                                         25.0cm×917.9cm

 紺紙金字 浄土三部経(じょうどさんぶきょう)のうち3巻

  安養寺は、浄土宗西山禅林寺派の寺院で、恵心僧都の創建、源信の妹安養尼が継いだと伝えられ、中世には浄土宗西山派の東山義の本山として重きをなした。

 本作品は、紺紙金字の浄土三部経であり、阿弥陀経を欠く3巻が同寺に伝わる。観無量寿経の上方には原初のものとみられる金銅製撥軸(ばちじく)が残り、その精緻な表現や見返し絵から、3巻とも鎌倉時代前期の制作と考えられる。装飾経、紺紙金泥経としての三部経の遺品は、本作品の他に類例は極めて少ない。

 現状では、本紙に欠損部が諸所に見られるほか、経年の擦れや汚れにより、本紙の経文の金字や見返し絵の金銀泥は当初の輝きを失った状態にある。修理により今後の維持保存はもとより、当初の鮮明な金銀が蘇ることが期待される。本年度より3ヵ年計画で修復を図る。


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