像高 136.0cm

 木造毘沙門天立像(びしゃもんてんりゅうぞう)

 山口県熊毛郡平生町の神護寺は、神仏分離と廃仏毀釈により明治3年(1870)廃寺となったが、明治4年(1871)に松蓮寺と合併し、現在地に移転した。
 
本像は、着甲・忿怒相の天部形で、左手を屈臂して宝塔を捧げ、右手を垂下して戟を執る毘沙門天の立像である。宝髻が低く、やや四角張った顔の輪郭、誇張のない面相、体の動きが少なく均整のとれた姿勢と、堂々とした量感ある体躯の表現など、平安時代後期の特徴を表す。
 
県指定文化財の他の天部像と比較してもその造形的完成度は高く、山口県内における本像の存在意義は大きい。両腕部を含め制作当初の箇所を多く留めている点も高く評価できる。
 
本像は、平成15年9月に平生町指定有形文化財となったが、保存状態は良好ではない。現状では手先を左腕に固定できないため、毘沙門天の図像的特徴である宝塔を掲げることができず、光背も亡失しているため、寺院における礼拝対象として十分な体裁を保てない状況にあり、早急に適切な修理を行う必要に迫られている。2ヵ年計画の修復は、本年度で完了する。


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