泉穴師神社は、天武白鳳元年(672)の創建と伝えられる式内社である。
その本殿の奥深くに80躯の神像群が祀られている。この神像群のうち主神2躯は、像高約57p、寄木造で12世紀の作と考えられている。ほか78躯はほとんどが10ないし20p台の小像で、両足部を別材製とするものもあるが、多くは全容を檜の一材より彫出する。
多くの像に赤や緑を主体とした彩色文様が施されており、製作当初は彩り鮮やかな姿であったことが判る。特徴的なのは肉身を漆箔押とするものが12躯あることで、金色身の神像は他に数例が知られる程度であり、本神像群の顕著な特徴として注目される。由来などは不明であるが、10〜12世紀のまとまった時期に制作され、今日まで伝わっている。現在では、虫害が多く、腐朽の進んでいるものも目立ち、彩色の剥落は常態化しており、熟練した技術者による修理が求められる。4ヵ年計画で修復を図っており、本年度は2年目となる。 |