本紙 109.0cm×53.2cm

絹本著色 釈迦十六善神像(しゃかじゅうろくぜんじんぞう) 

 高島市西部の朽木古川に所在する曹洞宗大通院(だいつういん)に伝わる絹本著色の掛幅。中央に説法印で蓮華座に結跏趺坐(けっかふざ)する釈迦如来像を皆金色身(かいこんじきしん)で表し、その脇侍として釈迦の右に常啼菩薩(じょうたいぼさつ)、左に法涌菩薩(ほうゆうぼさつ)が描かれ、画面下方には経典を抱く玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)と深沙大将(じんじゃだいしょう)が向かい合う形で表されている。十六善神は左右に八体ずつ配され、両手を交叉させて剣を執るなど奈良時代以来の古い図像伝統を引き継ぐ姿が散見される。釈迦の衣には細い切金文様が施され、善神像の持物、装身具には効果的に金泥が使用されている。
 本図は玄奘三蔵の姿が興福寺系仏画に多く採用された図像であること、十六善神像に古い図像が多用されていることなど、南都仏画としての特質を示すと考えられるが、明度の高い色彩感覚も鎌倉時代中後期の南都仏画として相応しいとされる。
 しかしながら、本図は度重なる巻き返しによって横折れ皺が甚だしく、画絹の断裂や彩色の剥落が進んでいて、本格的な修理を行わなければ絵画作品として致命的な破損を避けられない状況にある。3ヵ年計画で修復を図っており、本年度はその最終年度となる。


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