明珍作(みょうちんさく)うこん威甲冑(おどしかっちゅう)一領(いちりょう)
江戸時代に佐賀藩諫早領の領主諫早家の家宝として伝わってきた本作は、金具工芸の技術から相対的に重量感があり、部品や装飾具類などから作風は江戸時代に流行した復古調と判断されている甲冑一領である。 付属する折紙から、甲冑の宗家、増田明珍宗介の作と判明しており、兜に装飾された前立(まえだて)は武家文化の工芸に見られる豪華にして優雅な気風をもつ作品である。 明治43年(1910)、ロンドンでの日英博覧会に日本を代表する美術工芸品として出展された経緯をもつ。昭和32年の諫早大水害の被害を受け、昭和45年に補修を行ったが、現状は金属部分に錆が発生し、また漆の剥離、絹組紐の劣化等も見られるため全面的な修復を図る。