像高 102.5p

 木造十一面観音菩薩立像(じゅういちめんかんのんぼさつりゅうぞう)

 心光寺(しんこうじ)は寛永元年(1624)に創建された浄土宗の寺院である。
 本像は心光寺境内の観音堂の本尊として祀られている。一木造の彫眼像で、肉付きの豊かな張りのある面相部、幅広で奥行きの深い頭部、猪首でやはり奥行の堂々とした短軀は、平安前期の彫刻の特徴を示している。制作以降、後世の改変も少なく造像当初の形態を残し、大阪市内では数少ない平安彫刻である。江戸時代の地誌『摂陽群談』(1701年刊)には、伝教大師(最澄)の作と記されており、既に18世紀初頭に大阪有数の古像として認識されていたことがうかがえる。
 大坂の陣や第二次世界大戦など数度の大きな火災をくぐりぬけてきた本像も金属部の欠損、曲がりが生じ、本体の漆箔の浮き上がり、虫損も少なくない状態にある。


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