紙本墨画 淡彩障壁画(たんさいしょうへきが) (岸連山筆(きしれんざんひつ))52面
相国寺塔頭の長得院(ちょうとくいん)は、鄂隠慧奯(がくいんえかつ)(1357〜1425)によって応永年間(1394〜1427)に創建された。現在の建物は天明の大火(1788)後に再建され、その後に障壁画が整えられた。障壁画は長得院本堂の5室にわたり、「山水図」、「波涛鷲図」、「花鳥図」、「水辺虎図」、「唐人物図」の襖絵46面等、計52面におよぶ。 岸連山(1804〜1859)は、岸駒の門人ながら岸派の代表格として京都を中心に活躍した。長得院の障壁画は、岸連山の単独制作であること、岸派の筆法を受継ぎながら、より柔和で装飾的な要素を強めた画風がよく表れていることから、岸連山の代表作の一つともいわれる。 現状は、本紙破損、乾燥による亀裂も多く、剥落も進行してきている。5ヵ年計画で実施している修復事業は、本年度で完了する。