310.0cm×218.2cm(描き表装を含む)

 紙本著色 涅槃図(ねはんず)

  東京都墨田区の法泉寺(ほうせんじ)は、葛飾北斎の浮世絵にも描かれ、江戸時代には尊崇を集めた寺院である。第二次世界大戦の空襲により多くの寺院が焼失した中にあって、被災を免れた法泉寺の所蔵する文化財は、歴史、文化を伝える貴重なものである。
 涅槃図は、江戸時代中期に描かれたとみられる。描き表装部分を含めて縦3メートルを超える大きな図でありながら、その構成は、鎌倉時代以降の構図を充分に咀嚼し、描写においても悲しみを示す表情や精緻で多様な文様などに特徴がある。
 制作以降一度も修理歴がなく、画面では絵具の粉状化、剥離、剥落や折れに伴った亀裂、肌裏紙からの糊浮きも生じ、描き表装部分も損傷している。修復は、昨年度から2ヵ年計画で 行っており、本年度で完了する。


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