木造阿弥陀三尊像(あみださんぞんぞう)
広島県尾道市の西郷寺は、正慶年中(1332〜1334)、時宗の遊行六代一鎮上人(1278〜1355)が開基と伝わり、文和3年(1354)に建立された本堂は重要文化財に指定されている。この本堂に安置されている本尊が阿弥陀三尊像である。 来迎印を結ぶ阿弥陀如来立像と、やや腰を屈めて前傾姿勢をとる観音・勢至の両脇侍は三躯一具同作で、明るい面貌、衣文の装飾性、中尊の頭部を襟際の線で体部に差し込む技法などから、14世紀半ば頃の制作と考えられ、本堂建立時に造立安置されたと思われる。 金泥塗りに精緻な截金文様の像の表面や台座などほぼ造立当初のままであり、像表面の金泥塗りの剥落、台座部材の矧ぎ目のゆるみや、観音像の右手前膊の脱落などが進行し、転倒の危険性も増してきている。 昨年から修復を開始し、本年が最終年度となる。