本紙 91.5cm×41.2cm

絹本著色 春日曼荼羅図(かすがまんだらず)

  栃木県真岡市の遍照寺(へんじょうじ)は、足利尊氏の護持僧であった三宝院賢俊が中興開山となった真言宗の古刹であり、貞和2年(1346)銘の運慶五代の孫康誉(こうよ)作「大日如来坐像」で名高い。東日本の寺院には稀有といえる春日曼荼羅図も、同時期に中央から移されたと考えられている。
 一鳥居から本社本殿および御蓋山(三笠山)までの社域を描き、その上方に本地仏5体を飛雲に乗る姿で描かれている。社殿の描写は正確な柱間数など精緻に描かれており、また内院の杉、棕閭や大杉、参道際の榎本滝、神垣森、影向松など社域を特徴づける要素はすべて描き込まれている。
 全面に折れが入り、本紙の絹の傷みが激しく肌裏から絹が剥離している個所も多い。顔料の劣化も進んでおり本格的な修理を図る。


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