木造不動明王立像(ふどうみょうおうりゅうぞう)
茨城県水戸市の神崎寺(かみさきじ)は、元亀3年(1572)に中興されたがそれ以前の寺歴は定かでない。神崎寺の不動明王立像は、平安後期の制作とみられており造像時から既に1000年近くが経過している。 不動明王立像は、欅一本造で頭体幹部通して縦一材から彫り出され、両耳前の髪束を頭頂に立ち上げ、蝶形に結び末端を辮髪に結ぶという他に数例しか類例のない非常に独特な表現がなされている。 頭部部材の亡失と虫損による上半身背面が大きく損傷し、また足先にも虫損があるため、自立不可能な状態となっている。希少作例の消滅を防ぐためにも早急な修復を図る。