本紙 71.6cm×29.0cm

 絹本著色 春日本地曼荼羅図

 室町時代、15世紀の制作と思われる本紙は、長期間京都国立博物館に寄託されているが、現状は表装と分離され、仮裏打の状態にあるため、一般に展示されることなく学界にも殆ど認知されていない。
 精緻濃密な彩色から、中世後期における南都絵所の典型的作風を示す。春日社頭の景観を背景に、社殿は描かず鳥居のみ描いており、四段に配された本地仏も、最上段中央の釈迦の左に描かれた阿弥陀を一宮とする極めて珍しい春日本地曼荼羅図である。また旧表具外題に「十六善神」との誤称があり、大般若会の本尊として用いられたと推察される。
 本紙には多数の横折れ、亀裂があり、折れ箇所から料絹の剥離、剥落、擦れが生じ、また絵具焼けも見られる状態である。

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