当財団は、住友グループ20社が現在の住友の諸事業の礎である別子銅山の開坑300年を記念して設立を決意し、「人類社会の直面する諸問題の解決・改善を目的とする諸分野における研究及び事業に対し、国際的な視野をもって、時代の要請に適った助成を行い、もって人類の豊かな社会建設に資することを目的」とする助成財団として、平成3年9月25日に内閣 総理大臣の設立許可を得、助成事業を開始しました。
第12期の平成14年度は、期初に住友グループ20社より10億円の寄付を受け、基金は設立時の目標としていた200億円(うち基本財産170億円、運用財産30億円)に到達しました。経理面は金利情勢が更に悪化したため厳しい状況が続きましたが、助成事業については、5つの公募助成プログラムについて事業計画以上の助成を行い、これに「住友財団10周年記念助成」(文化財維持・修復事業助成)と非公募の「その他助成」を加え、助成総件数は前年度比32件増の246件、金額では前年度比1千3百万円余増の3億7千6百万円余の助成を実施しました。
助成件数 | (前年度比) | 助成金額 | (前年度比) | ||
---|---|---|---|---|---|
(イ) | 基礎科学研究助成 | 83件 | (+8件) | 135,000千円 | (±0千円) |
(ロ) | 環境研究助成 | 54件 | (-2件) | 105,000千円 | (±0千円) |
(ハ) | 文化財維持・修復事業助成 | 38件 | (+15件) | 70,370千円 | (+15,650千円) |
(うち「住友財団10周年記念事業」 | 8件 | 20,000千円 | ) | ||
(ニ) | 海外の文化財維持・修復事業助成 | 9件 | (+1件) | 20,169千円余 | (-1,396千円余) |
(ホ) | アジア諸国における日本関連研究助成 | 58件 | (+11件) | 40,107千円余 | (+42千円余) |
(ヘ) | その他助成 | 4件 | (-1件) | 5,500千円 | (-500千円) |
合 計 | 246件 | (+32件) | 376,146千円余 | (+13,795千円余) |
景気停滞長期化から長期金利が一段低下するなど金利情勢は厳しさを増しましたが、期初に10億円の基金増加があり、この資金で比較的利回りの良い債券を購入できたことを主因に、運用収入は前年度に比べ2千3百万円余、予算比では1千6百万円余増加して4億3千6百万円余となりました。一方支出面は、事業費、管理費とも圧縮に努めた結果、事業費支出計、管理費支出計及び予備費の合計額は予算対比
3千3百万円余減の4億8千5百万円余となりました。この結果当期収支差額は、予算対比では運用収入増、支出減により5千万円余改善し、繰越収支差額2億4千8百万円余を次期に繰越しました。
しかし、正味財産増減計算では、予算対比改善はしたものの厳しい経理状況から、基金が10億円増加したにも拘わらず、正味財産額は前年度末比9億5千万円余の増加に留まり、期末の正味財産は199億6千8百万円余と基金(寄付累計額)200億円に3千1百万円余食い込む形となりました。
平成14年3月13日開催の理事会・評議員会で決定承認された事業計画に基づいて、下記の助成を行いました。
重要でありながら研究資金が不十分とされている基礎科学研究、とりわけ若手研究者による萌芽的研究に助成を行うもので、平成14年4月15日〜6月末に公募したところ、応募件数で前年度比 7件増の890件、助成申請金額で同1億1千9百万円余増の28億7千1百万円余の応募がありました。
選考に当たっては、下記の12名の先生に選考委員を委嘱し、書面審査並びに7月27日及び9月21日開催の選考委員会で厳正な選考が行われました。
選考委員長 | 杉村 | 国立がんセンター 名誉総長 |
選考委員 | 池内 了 | 名古屋大学 教授 |
權田 俊一 | 福井工業大学 教授 | |
近藤 壽人 | 大阪大学 教授 | |
佐野 浩 | 奈良先端科学技術大学院大学 教授 | |
白井 良明 | 大阪大学 教授 | |
鈴木 増雄 | 東京理科大学 教授 | |
関 一彦 | 名古屋大学 教授 | |
藤澤 肇 | 名古屋大学 教授 | |
三浦謹一郎 | 東京大学 教授 | |
村橋 俊一 | 大阪大学 名誉教授 | |
森 重文 | 京都大学 教授 |
選考委員会の選考結果に基づき、平成14年10月29日開催の理事会・評議員会において審議の結果、83件、助成金総額1億3千5百万円(事業計画通り)の助成対象を決定しました。採択者に対する助成金の交付は平成14年11月より行いました。
助成対象の明細は添付資料の通りです。
人類の直面している最大の問題の一つである環境問題に、研究助成という形で取り組んでいるもので、環境に関する様々な視点(人文・社会科学分野、自然科学分野)からの研究に助成を行っています。
「一般研究」と「課題研究」(本年度募集課題:エネルギー利用の効率化と自然エネルギー利用拡大に向けての新しいシステム技術の研究)について、平成14年4月15日〜6月末に公募したところ、応募件数で前年度比32件増の443件(内課題研究18件)、助成申請金額で同1億1千9百万円余増の14億3千万円余(内課題研究1億6千7百万円余)の応募がありました。
選考に当たっては、下記の7名の先生に選考委員を、1名の先生に専門委員を委嘱し、書面審査並びに7月19日及び9月27日開催の選考委員会で厳正な選考が行われました。
選考委員長 | 茅 陽一 | 東京大学 名誉教授 |
選考委員 | 秋元 肇 | 地球フロンティア研究システム大気組成変動予測研究領域 領域長 |
小島 覚 | 東京女子大学 教授 | |
佐和 隆光 | 京都大学 教授 | |
但野 利秋 | 東京農業大学 教授 | |
安岡 善文 | 東京大学 教授 | |
渡辺 正孝 | 国立環境研究所 水土壌圏環境研究領域 領域長 | |
専門委員 | 遠山 千春 | 国立環境研究所 環境健康研究領域 領域長 |
選考委員会の選考結果に基づき、平成14年10月29日開催の理事会・評議員会において審議の結果、一般研究52件、課題研究2件、助成金総額1億5百万円(事業計画通り)の助成対象を決定しました。採択者に対する助成金の交付は平成14年11月より行いました。
助成対象の明細は添付資料の通りです。
「心の豊かさ」と「文化」を大切にし、人類共通の財産である文化財を後世に継承するため、日本国内にある文化財(美術工芸品)の維持・修復事業を対象として助成しているものです。
平成13年10〜11月に公募した平成13年度文化財維持・修復事業助成の応募57件の中から、平成13年度の助成とは別に平成14年度の助成として「住友財団10周年記念助成」を行うこととし、下記3名の選考委員で構成された選考委員会(平成13年12月25日及び平成14年1月31日)で厳正な選考が行われました。
選考委員 | 田邉三郎助 | 武蔵野美術大学 教授 |
三輪 嘉六 | 日本大学 教授(当時) | |
渡邊 明義 | 東京国立文化財研究所 所長 |
選考委員会の選考結果に基づき、平成14年3月13日開催の理事会・評議員会において審議の結果、添付資料記載の8件、2千万円(事業計画通り)の助成対象を決定しました。
採択者に対する助成金の交付は平成14年4月より行いました。
平成14年度助成については、平成14年10〜11月に公募したところ、81件(前年度比24件増)、助成申請金額で2億5百万円余(同2千5百万円余増)の応募がありました。
選考に当たっては、下記の3名の先生に選考委員を委嘱し、書面審査並びに平成14年12月24日及び平成15年1月31日開催の選考委員会で厳正な選考が行われました。
選考委員 | 田邉三郎助 | 武蔵野美術大学 教授 |
三輪 嘉六 | 日本大学 教授(当時) | |
渡邊 明義 | 東京国立文化財研究所 所長 |
選考委員会の選考結果に基づき、平成15年3月11日開催の理事会・評議員会において審議の結果、添付資料記載の30件、助成金総額5千万円余(事業計画比微増)の助成対象を決定しました。
採択者に対する助成金の交付は平成15年3月より行っております。
上記(ハ)と同じ趣旨に加えて国際交流の観点から、海外にある文化財(美術工芸品及び遺跡)の維持・修復事業とその事前調査(維持・修復に直接つながるもの)を対象として助成しているもので、平成14年10〜11月に公募したところ、14カ国(文化財の所在では18カ国)から25件(前年度比6件増)、助成申請金額で1億3千7百万円余(同8千1百万円余増)の応募がありました。
国内の文化財と同一の選考委員会で選考の上、平成15年3月11日開催の理事会・評議員会において審議の結果、添付資料記載の9件、助成金総額2千万円余(事業計画比微増)の助成対象を決定しました。
採択者に対する助成金の交付は平成15年3月より行っております。
国際相互理解増進の観点から、主に東アジアと東南アジア諸国における日本に関連する人文・社会科学分野の研究に対して助成を行っているもので、平成14年8〜10月に公募 したところ、11の国・地域から、217件(前年度比24件増)、助成申請金額で3億1千5百万円余(同1千4百万円余増)の応募がありました。
選考に当たっては、下記の2名の先生に選考委員を、9名の先生に専門委員を委嘱し、書面審査及び平成15年2月22日開催の選考委員会で厳正な選考が行われました。
選考委員 | 池端 雪浦 | 東京外国語大学 学長 |
渡邊 利夫 | 拓殖大学 教授 | |
専門委員 | 石井 明 | 東京大学 教授 |
井尻 秀憲 | 東京外国語大学 教授 | |
小泉 順子 | 東京外国語大学 教授 | |
白石 昌也 | 早稲田大学 教授 | |
中野 聰 | 一橋大学 助教授 | |
服部 民夫 | 同志社大学 教授 | |
深見 純生 | 桃山学院大学 教授 | |
丸川 知雄 | 東京大学 助教授 | |
吉村 真子 | 法政大学 教授 |
選考委員会の選考結果に基づき、平成15年3月11日開催の理事会・評議員会において審議の結果、添付資料記載の58件、助成金総額4千万円余(事業計画比微増)の助成対象を決定しました。
採択者に対する助成金の交付は平成15年3月より行っております。
この助成プログラムは、理事会・評議員会の直接の決定により
@本財団の将来のプログラム展開上、意義大と思われる研究及び事業に対する助成
A緊急を要するもので本財団としての対応が必要と認められる研究及び事業に対する助成
B事業計画に掲げた助成プログラムと関連し、これを補充、強化する研究及び事業に対する助成
等を行うもので、本年度は、平成14年3月13日、平成14年6月24日、平成14年10月29日及び平成15年3月11日開催の理事会・評議員会において、添付資料記載の4件、5百万円余の助成対象を決定・承認しました。
事業計画(1千万円)との差額の一部は、他の公募助成プログラムに転用しました。
助成金の交付は、助成決定後順次行っております。
役 名 | 氏 名 | 主たる職業 |
---|---|---|
会 長 | 杉村 隆 | 国立ガンセンター 名誉総長 |
理 事 長 | 宮原 賢次 | 住友商事 会長 |
専務理事 | 石川 睦夫 | 住友財団 事務局長 |
理 事 | 石 弘光 | 一橋大学 学長 |
奥田 碩 | トヨタ自動車 会長 | |
加藤 一郎 | 成城学園 名誉学園長 | |
熊谷 信昭 | 大阪大学 名誉教授 | |
小林庄一郎 | 関西電力 相談役 | |
長尾 眞 | 京都大学 総長 | |
西垣 浩司 | NEC 社長 | |
西川 善文 | 三井住友銀行 頭取 | |
平岩 外四 | 東京電力 相談役 | |
三浦 朱門 | 作家 | |
宮崎 清文 | 日本交通福祉協会 会長 | |
吉野 泰生 | 住友生命保険 会長 | |
監 事 | 高橋 温 | 住友信託銀行 社長 |
森田松太郎 | 日本アーサーアンダーセン研究所 理事長 | |
渡邊 利夫 | 拓殖大学 教授 | |
評議員 | 石川 忠雄 | 慶應義塾大学 名誉教授 |
植村 裕之 | 三井住友海上火災保険 社長 | |
岡田 節人 | JT生命誌研究館 館長 | |
岡山 紀男 | 住友電気工業 社長 | |
神谷 不二 | 東洋英和女学院大学 教授 | |
茅 陽一 | 東京大学 名誉教授 | |
木村尚三郎 | 静岡文化芸術大学 学長 | |
グレゴリー・クラーク | 多摩大学 名誉学長 | |
古在 由秀 | 国立天文台 名誉教授 | |
小林 俊一 | 理化学研究所 理事長 | |
下妻 博 | 住友金属工業 社長 | |
鈴木 孝夫 | 住友石炭鉱業 社長 | |
高城申一郎 | 住友不動産 会長 | |
田丸 謙二 | 東京大学 名誉教授 | |
西原 春夫 | 国士館 理事長 | |
野依 良治 | 名古屋大学 教授 | |
平山 郁夫 | 東京藝術大学 学長 | |
福島 孝一 | 住友金属鉱山 社長 | |
矢野 龍 | 住友林業 社長 | |
山田 康之 | 奈良先端科学技術大学院大学 名誉教授 | |
米倉 弘昌 | 住友化学 社長 | |
役員・評議員共に任期は平成13年7月1日〜平成15年6月30日です。 期中の異動はありません。 |
職 名 | 氏名 | 担当業務 |
---|---|---|
事務局長 | 石川 睦夫 | 全般 |
総務部長 | 田渕 雅彦 | 総務経理 |
企画部 助成担当部長 | 水野 隆 | 助成事業 |
〃 | 児玉 武雄 | 〃 |
〃 | 中山 達弥 | 〃 |
〃 | 野崎 正之 | 〃 |
総務部員 | 大場 純子 | 総務経理 |
企画部員 | 村田 潤子 | 助成事業 |
期中の異動 | ||
総務部長 | 田渕 雅彦 | 平成14年4月1日任用 |
〃 | 御宿 四郎 | 平成14年3月31日退任 |
【添付資料(助成対象一覧)は省略しました。】
【助成対象一覧は各助成のページに添付した助成対象一覧をご覧ください。】