新型コロナ禍は収束の兆しが見えず、領土拡大行為が引き起こした世界的食料・エネルギー供給の危機、激甚な気象により益々頻発化する災害など、我々は激動の中に置かれている。環境問題にも、これまでとは異なった視点からのアプローチが求められている。たとえば、環境に良いと思われていたリユース・シェアといった行動も感染防御の観点から再考が求められており、それによりこれまでとは違った大量プラスチック廃棄物が生じている。また、パンデミックとデジタル化は就労パターンに大きな変革をもたらし、リモートワークを基本とする企業さえ出てきている。これにより、移動に関わるエネルギーや大気汚染が減少するかもしれないが、ビッグデータの保存やスーパーコンピューターによる大量電力消費など新たな問題が生じてきている。一方で、地球温暖化、地域または地球規模の大気・海洋汚染、マイクロプラスチック、有害化学物質などによる環境劣化、水、食料、エネルギーの不足、レアメタル等ハイテクを支える元素の偏在など問題は深刻化かつ重層化しており、生物多様性の保全、カーボンニュートラル実現に向けた再生資源・エネルギーの利用や持続可能な開発目標(SDGs)の達成、災害に強い安全・安心な社会の実現などの課題も山積している。
本課題研究は、激動の時代における環境問題の構造を新しい眼で理解し、その解決を目指す独創的な学際研究を募集する。地球規模あるいは国外の特定地域の課題の場合は国際共同研究が期待される。また、自然科学的アプローチだけではなく、人間行動や社会経済システム変化を探求する人文社会科学的アプローチまたは双方に跨る学際研究も歓迎する。