モンゴル国の匈奴墓で新たに出土した漢代漆器の修復研究

  匈奴は、紀元前3世紀〜紀元後1世紀頃、モンゴル高原で最初に王権を確立した民族で、漢をも凌ぐほどの勢力をもっていた。修復助成対象は、匈奴の墓地から出土した漆器3点(耳杯2点、盤1点)であり、当時、領域内に侵攻しない見返りに漢から匈奴に贈られた貢納品であると考えられる。今後、漢字銘文が確認できる可能性が高く、漢時代の手工芸生産を知る上で重要な資料であるとともに、漢と匈奴との外交関係を示す歴史的資料としての価値も高い。
 現状は、出土後に全く保存措置がされていない状況であり、外気に晒されて急激に乾燥しており、保存修復が急がれている。修復作業は日本に移送の上、京都の修復施設にて行われる予定である。

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