遼時代陵墓(中国)出土のガラス器の修復

 修復助成対象は、遼(916〜1125年)の第6代皇帝聖宗(971〜1031年)の貴妃陵墓から2015年に発掘された副葬品のガラス器4点のうち白瑠璃瓶である(内蒙古博物院所蔵)。2016〜2018年度助成にてガラス器4点の修復が進められ、2019年度助成では白瑠璃瓶の欠損部分の型制作と樹脂による補填を予定していたところ、コロナ禍のためプロジェクトが中止されるに至った。本件は、残ったプロジェクトを改めて完了すべく助成を行うものである。
 ガラス器の製作地は、当初、中東のイスラム圏と推定されたが、科学的分析により中央アジア圏であることが判明、遼代のガラス器が草原ルートを介してもたらされた可能性が明らかになるなど、学術的にも画期的な成果に結びついている。
 修復作業は、日本の修復業者が技術者を派遣して、本品を所蔵する内蒙古博物院にて行う予定である。

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