「十一面観音菩薩像」の修復

 ケルン東洋美術館は、ウィーンの大企業家一族の出である美術品蒐集家アドルフ・フィッシャーにより、東洋芸術のあらゆるジャンルに亘ってその歴史的な展開を一望できるようにした美術館として1909年に設立され、約11,000点を所蔵している。
  修復助成対象の「十一面観音菩薩像」 は、南北朝時代14世紀の制作である。右手に錫杖、左手に水瓶を持ち、方形の台座に立つ「長谷寺式十一面観音像」であり、肉身全体が皆金色で表され、着衣や天衣には華麗な截金文様で細やかな装飾が施されている。
  修復前は、多くの絵具の剥落、よじれや欠損が見られていた。また、元々掛幅装であったが、展示の利便性から額装になっていた。修復は、日本の修復工房で行っており、装丁も掛幅装に戻す予定である。

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