「祇園祭礼図屏風」の修復
 

 リートベルク美術館は、1952年チューリッヒ市により開設された美術館で、スイスで唯一欧州以外の美術品を収集展示している。
 本件「祇園祭礼図屏風」は、祇園祭の山鉾巡行を、華麗な彩色や入念な細部の描写により描いた江戸初期の優品である。見物用の高床式の桟敷が数多く描かれ、趣向を凝らした金屏風を背に、人々が祇園祭を思いのまま楽しむ様子が濃密な人体表現により生き生きと描かれており、いわゆる「岩佐又兵衛風」を継承していると云われている。また、裏面には銀箔が貼られ、一面に山水図が描かれている。
 本品は 、2021年5月にリートベルク美術館が個人の寄贈を受けたものであるが、染みや亀裂、絵具の剥離等が生じ、裏面の山水図にも大きな損傷がみられていた。修復作業は、京都の工房で行われ ている。

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