ポズナン国立博物館(ポーランド)所蔵
「阿弥陀如来像」の修復(事前調査)

  ポズナン国立博物館は、1857年設立されたポーランドの最古かつ重要な博物館の一つである。同館は、ケルン東洋美術館の創始者である美術品蒐集家アドルフ・フィッシャーの蒐集品の一部を引き継いだものの、その大部分は第二次世界大戦の戦火で消失、本品を含む幾つかの文化財が奇跡的に残っている。
 修復助成対象の「阿弥陀如来像」は、鎌倉期の制作と推定されるものだが、表面の剥離が進んでいるため、保全紙に覆われた状態で長らく所蔵庫に眠っていた。また、過去に西洋ニスが表面に塗られるなど不適切な修復がなされており、その回復も必要となっている。
 これまで専門家の調査を受けたことがなく、まずは、日本の仏教美術(彫刻)の専門家により、現地にて仏像の状態や原材料の分析等の調査を行い、今後の修復計画を立案検討する必要がある。

©2022 The Sumitomo Foundation

前ページに戻る