モンゴル国の匈奴墓で出土した漢代紀年漆器の修復と研究

 匈奴は、紀元前3世紀〜紀元後1世紀頃、モンゴル高原で最初に王権を確立した民族で、漢をも凌ぐほどの勢力をもっていた。
 修復助成対象は、匈奴の墓地から出土した漆器2点である。製作年、製作工房、検品検査の過程が漢字銘文で刻まれており、古代中国の手工芸生産を知る上で重要な資料となっている。その銘文から紀元前16年に製作されたものと判明している。漢から贈られたものと考えられ、漢と匈奴との外交を示す歴史的価値も高い。
 木質の素地の水分が飛んでしまい収縮と変形により割れた状態で、表面の漆塗膜の波打ち剥離現象も発生しているため、保存修復が急がれている。

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