ヤン三世王宮美術館(ポーランド)所蔵「漆の櫃」の修復

 ヤン三世王宮美術館は、ポーランド王ヤン三世ソビエスキ(1674〜1696年在位)がワルシャワの郊外に夏の離宮として建てたヴィラヌフ宮殿内にある1805年開館の美術館で、8,500点ほど装飾品や調度品を所蔵している。
 修復助成対象の漆の櫃(ひつ)は、江戸前期に制作されポルトガル、スペイン向けに輸出された南蛮漆器である。かまぼこ型蓋のついた書類入れとして使われたと想定される小型の箱であり、ヨーロッパで比較品が少ない大変貴重な作品である。
 全般的に漆の剥落や欠落、螺鈿の欠損、金具の変形があり、また過去の不適切な修理の悪影響により美観を損ねているため修復が急がれていた。
 日本人の漆工芸家による指導を受けた修復担当者が現地で修復作業を実施している。
 

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