遼時代陵墓(中国)出土のガラス器の修復

 修復助成対象のガラス器4点(当初5点と想定されていたが、作業が進む内に4点と判明した)は、2015年9月に発掘された遼(916〜1125)の第6代皇帝聖宗(971〜1031)の貴妃(皇后に次ぐ地位とされた)の皇陵(皇帝とその妃等の墓のこと、993年築造)の副葬品であり、遼時代の皇陵の科学的考古学的発掘は中国考古学史上初めてである。ガラス器は、崩落した天井につぶされ破片の状態で回収されたが、仮組みでいずれも高さ15cm以下、最大径10cm以下の大きさである。中央アジア以西からもたらされたイスラムガラスで、吹きガラスによる立体造形の発掘例は極めて少ない。形式から推定して製作は9世紀後半頃と思われる。
 ガラス器は、器体が極めて薄く、土中にあったためかなり風化が進んでいる。
 修復作業は、日本の修復業者が技術者を派遣して内蒙古博物院にて行っている。

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