タイ国パノム・スリン難破船出土遺物の保存

 パノム・スリン難破船(長さ25mと推定)は、タイ国の首都バンコクの南西40kmで2013年に発見された。積荷から中国唐時代の陶磁器が発見されており、9世紀の船と考えられ、中国から東南アジアやインドを経てペルシャに至るアジアの海上交易の実態を知る上で大変重要な歴史的遺産である。
 海底から引き揚げた船体の部材や穀物、香木、象牙、積荷容器のバスケットなどの積載された有機出土遺物は、高温多湿の東南アジアでは劣化のスピードが速く緊急の保存を要する。保存方法は、高温多湿の気候に対応できるトレハロース含浸法(九州国立博物館にて開発)を採用して、積載物を中心に有機遺物の保存を4年間で実施している。

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