ケルン東洋美術館(ドイツ)所蔵 「毘沙門の本地絵巻」の修理

 十六世紀中葉に制作されたと思われるこの絵巻は御伽草子本地物の代表作で、ケルン東洋美術館には3巻のうち2巻あり、巻末に「清涼時釈迦堂常什」の銘のある伝来の確かな作品である。能筆家の詞書は他の比較作品に見られない箇所もあり、その観点からも貴重な遺品である。
 厚い裏打ち紙の乾燥のため、詞書の本紙が裂け、分離、折れや皺、亀裂が多く、絵の具の剥離、剥落が目立つ軸装一巻を、先年に引き続き修復する。
 絵の具の剥落止め、汚れ、シミの可能な限りの除去、肌裏紙の新調、太巻きの制作などにより、今後より良い条件下で作品を保存する。

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