大鏡 巻第二 30丁 (縦25.4p 横17.4p)

私家集と大鏡

 冷泉家に伝えられた私家集4巻83冊196帖は、わが国和歌文学の根本資料として極めて貴重なものである。冷泉家本なくしては、現在の和歌文学の存在は考えられないものである。
 今回修復予定の「源順集(みなもとのしたごうしゅう)」は、平安時代末期の写本であり、藤原定家の筆による加訂の跡もみられる。宮内庁書陵部本の親本でもある。 「惟宗広言集(これむねのひろときしゅう)」「経正集(つねまさしゅう)」「刑部卿頼輔集(ぎょうぶきょうよりすけしゅう)」は、鎌倉時代の写本であり、現在の流布本の親本であることが明らかである。
 昨年度に引き続き修復が予定されている冷泉家本「大鏡」3帖は、平安時代後期に成立した歴史物語で、藤原道長を中心とする藤原氏の栄華を記す。仮名遣いに古態をとどめ、学術的に大変貴重な資料であるが、損傷が甚だしい。

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