(高さ 88.0p 幅55.0〜63.5p 奥行48.5p)

(おい)

 この笈は、長林寺開山の大見(だいけん)禅師の所持品と伝えられており、開山が文安5年(1448)とされていることから、この前後に制作されたものと推定される。
 3脚の箱笈で、箱の正面は框(かまち)により4段に区切られている。一番下の段と箱上の額部分は鎌倉彫牡丹桃実が刻出された羽目となってい
る。全体は木製黒漆塗りの地の簡素な造りであるが、室町時代に隆盛した鎌倉彫が施された重要美術品の名にふさわしい優品である。
 一見保存状態は良好のようだが、細部に目を移すと、下地の欠損や漆の剥落、虫喰いなど憂慮すべき状態である。

Copyright (C) The Sumitomo Foundation. All Rights Reserved.

前ページに戻る