本紙 176.2cm×128.6cm

 絹本著色 鳥羽天皇像

  根来寺は、覚鑁(かくばん)(1095〜1143)の創建による大伝法院を前身寺院とする新義真言宗の総本山である。中世の根来寺では、大伝法院の創建と発展を支えた鳥羽天皇(1103〜1156)を讃嘆する忌日供養が長らく行われていたといい、本作はそうした供養の場で奉懸されたと推定されている。

 本作は、墨と顔料を用いて、直衣指貫(のうしさしぬき)を着けて檜扇(ひおうぎ)を持ち上畳(あげだたみ)に坐る鳥羽天皇の姿を、等身大に描く南北朝時代に制作されたと考えられる肖像画の記念碑的大作である。

 しかしながら、表装の不具合に起因する本紙の大きなたわみや波打ちによって中央に強い縦折れが生じ、巻き解きの際に本紙表面が擦れるという大変危険な状態に陥っている。絵具層の剥離・剥落等も進行していることから、早急な修理が必要な状態にある。2ヵ年計画の修復は、本年度で完了する。


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