像高 191.5cm

木造薬師如来坐像

  新薬師寺は、天平19年(747)に、聖武天皇の病気平癒を祈って光明皇后によって創建された華厳宗の寺院である。

  本像は、新薬師寺本堂(国宝)の須弥壇上に安置される丈六像で、ほぼ完全な一木造りの遺品として貴重である。大きく見開いた目と柔和な表情、ふっくらとした肉付きのある体躯が特徴的で、平安時代初期の彫刻を代表する作例として知名度も高い。

 明治36年(1903)に日本美術院による修理が行われて以降、昭和28年(1953)に台座の修理を受けたものの、その後70年が経過し劣化が著しく進行している。特に台座は大きな虫損が目立つほか表面が欠損・陥没する箇所も多く、損傷移行が懸念されることから、早急に構造補強や欠損部の補修を施す必要がある。2ヵ年計画 の修復は、本年度で完了する。


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