本紙  99.9cm×33.7cm

 紙本墨画 山水図(拙宗(せっしゅう)筆)

   本作は、画上に拙宗の印、守護大名大内氏に関係する三人の室町時代の禅僧の賛が認められる。これらによって、制作者は拙宗、制作時期は室町時代の作品と考えられている。

 制作者の拙宗については、異論もあるが、室町時代の画僧雪舟(1420〜1506?)と同一人物で、雪舟が若年期に名乗っていたのが「拙宗」とする説が有力である。この説によれば、本作は雪舟の若年期の作品で、雪舟が壮年期以降得意とした溌墨(はつぼく)技法(墨を紙面におとし、筆を補助的に用いるだけで一気に山や樹石のかたちを描く技法)の初期段階を示し、雪舟の作風展開を論ずる際の基準作と位置付けられる貴重な作品である。

 しかしながら、経年劣化により、本紙料紙に多数の横折れの発生ややつれが進んでおり、解体して全面的修理を施す必要性が認められる。本年度より3ヵ年計画で修復を図る。 


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